2030年には墨田区内の町工場が消滅？！

現在、町工場廃業に歯止めがかかりません。例えば東京・墨田区。工場数は1970年の9,703事業所をピークに2008年は3,391事業所。このペースで減少すると、2030年には区内から工場が消滅します。

昨年度、墨田区は上記背景から中小企業の営業支援を行うアイランド・ブレイン（本社：名古屋）と町工場の販路開拓支援「新分野開拓チャレンジ事業」を始めました。

　今年度も4月11日より支援先の応募を開始し、6月～3月までの約10か月間、区内の町工場8社程度に対し、新分野開拓に向けての支援を行います。

「新分野開拓チャレンジ事業」概要

　町工場の多くが、「技術力はあるが、どうやってその技術を周知すればいいかわからない」「下請け一筋で営業の仕方がわからない」というジレンマを抱えています。

そのような新分野への参入に対する意欲を持ちながらも、参入できていない墨田区内の町工場に対し、実際に新分野に対する営業やそのための調査を通じて、営業力やニーズ収集・分析力、戦略形成能力の向上を図り、新たな販路を獲得していきます。

「新分野開拓チャレンジ事業」の内容

○支援内容

①現状分析・営業戦略・目標・計画の作成 　   

②商談設定のためのアポとり

③計画の見直し　　　　　　　　　　　　　　　

④営業塾（６月～９月の間に全６回実施）

○28年度支援事例

【株式会社優工社】

自社で新規開拓営業を行ったことがなく、案件は既存顧客や取引のある塗料メーカーから紹介のみで、これまでの取引先はアパレル業が主でした。

本事業の支援により、ブロー成形機の製造業から部品塗装を受注する等、新分野への開拓が進みました。

※具体的な取り組み

◆2016年6月14日

ＫＪ法（ブレーンストーミングなどによって得られた

発想を整序し、問題解決に結びつけていくための方法）

を用いて、現状の営業課題を抽出。

◆2016年7月5日

6月14日に把握した下記5分類の営業課題に対して、

課題解決スケジュールを作成。

「理念浸透」・・・8月までに理念作成・社内浸透

「能動的な営業活動の仕組み化」・・・ＩＢより月1～2件程度の商談設定によって実行

「ＷＥＢサイトの強化」・・9月までに問い合わせを強化した自社ＷＥＢサイトを刷新

「営業の管理体制の構築」・・・8月までに見込み客フォローの管理体制を構築

「新製品開発」・・・今年度までに製品開発をするための土壌作り

◆2016年7月～2017年2月

7月5日に決定したスケジュールをもとに、営業課題の解決と新分野参入の取組みを実施しました。

また6月～9月にかけて、営業塾にて営業の基礎ノウハウを学び、営業力を強化。

結果、ブロー成形機や精密機器の製造業の製品の部品塗装2案件を受注（2017年3月現在）。

またその他の企業に関しても商談が進むなど、新分野参入に向けて取り組みが進みました。

★職人１人がいなくなれば、日本の技術が１つ減る

町工場が1つ消滅すれば、技術が1つ消滅することになります。

そして、今日も日本の貴重な財産が1つ消えています。

墨田区の町工場の8割は、従業員がわずか10人未満です。

その多くの職人には、“腕”があります。「腕があるのに仕事がない・・・。」

そんなジレンマと闘い続けている町工場の手助けをしたい。

そこで誕生したのが「新分野開拓チャレンジ事業」です。

新分野への開拓に生き残りをかける町工場の成長していく姿を1年通して、取材頂きたく思います。